……いや、いくら昨日の騒動を思い出してみても、私が振った。

私が別れようって言ったよね?





「はぁ、」





まあ、そんな人だろうとは思ったよ。

自分が振られたって、思われたくないんでしょ?



いつも男をすぐに振る綾瀬凛子と付き合ってるって、自慢したかったんだもんね?


それなのに振られちゃったから、今度は自分から振ったって事にしたいんでしょ?





「マジ?凛子が振られたの?」
「何それ、いい気味じゃん」




クラスの女子の声に、無意識に視線を落とす。



……いや、いいけど。

別に女の子から好かれたいなんて思ってないけど。


私には穂果がいればそれでいいし。
別に、いいし。





……でも、どれだけ慣れたと思っても心は少しは動揺するもので。