「……恭介」 「ん?」 「……助かった」 「え?あ、ああ……うん」 そんな素直な反応をされるとは思ってなくて、思わずどもってしまった。 「なんであんなに揉めてたの?」 凛子はいつも淡々と相手を振るから、揉め事になるのは珍しい。 と、俯いて、少し黙って。 「キス、しようとしたから」 気持ち悪いし、無理だと思った。なんて続ける。 彼女にキスしようとしてこんな感想を持たれるなんて、篠崎も不憫だ。 「そんな嫌だったわけ?」 「だって、」