机の中から、教科書が出て来た。

名前の欄には、【瀬見】って文字。


少し考えてから、2週間前に恭介に借りたまま返していないことを思い出して、恭介のクラスに向かう。



放課後だからもう帰ってるかもしれないけれど、家まで持って帰るのも面倒だからできれば今渡したい。


…ていうか、2週間も借りっぱなしだった私はもちろん悪いけれど、2週間教科書がなくても大丈夫だったのもどうなのよ、恭介?


なんて考えながら教室のドアに手をかけた、瞬間。




「えっ、振られたの!?」



驚いた女の子の声に、ピタリと手を止めた。