「観覧車怖いくせに、河谷さんの前だからってカッコつけちゃってバカみたい」
「え…」
「河谷さんと乗って怖がってたら幻滅されるでしょ」
ぶっきらぼうにそう言って、そのまま目をそらして夜景をじっと見つめる凛子。
…何で、覚えてんだよ。そんなこと。
2人で観覧車に乗ったのなんか、小学校の頃の話で。
その時俺が怖くてずっと凛子の手を握っていたことは黒歴史なんだけれど。
それ以降観覧車は避けていたけど、今回はなかなか言い出せずに、まあ外を見なければいいだろう、なんて思っていた。
顔にかかったタオルを少しめくって見えた凛子が、やけにキラキラしているのは夜景の光が綺麗だから。
凛子とふたりきりのこの空間が落ち着くのは、幼なじみだから。
三浦に嫉妬したのは、ずっと一緒にいた幼なじみを取られそうになったから。
こうやって言い訳ばかり必死で考えているのは、それはー…。



