ジェットコースターに乗らない遊園地なんて初めてだ。


もともと俺はそんなに遊園地に来るタイプでもないし、そもそも彼女もいないから男友達か凛子としか来たことがないわけで。


凛子も俺もジェットコースターが大好きだから、昔からジェットコースターばかり乗って付き添いで来た親を困らせたりしていた。







「…そろそろ」



歩くスピードが遅くなった凛子を見て、そろそろ休憩にしようと言おうとした瞬間。




「そろそろ休憩休憩にしようか」




三浦の声が俺のそれに重なって、通りかかったカフェを指差した。

少し驚いて三浦を見れば、同じく驚いた顔をした凛子に笑いかけている。






少し目を見張って、ふわりと笑って頷く凛子に、無意識のうちに強く握っていた拳に気付く。