「ただずっと一緒にいた瀬見くんを取られそうになって、焦ってるだけ」





景ちゃんの落ち着いたトーンの声に、何も言えなくなる。




「その気持ちは恋じゃないよ」




ずっと一緒にいたから。

離れることなんて考えたことなかったから。

恭介の1番はずっと私だって、思ってたから。



突然恭介を取られそうになって、嫌なだけ?

そうなの?






「…わかんない」




自分の気持ちがこんなにわからないなんて、初めてだ。




「あの2人、お似合いじゃん。

応援してあげようよ」




「…そっ、か」





真剣な瞳に見据えられて、操られたように頷いた。

瞬間、2人が帰ってきて恭介が私にココアを渡す。


それだけで何故だか胸がヒリヒリして、泣きそうになった。



知らない。

こんな感情、知らない。


なんで私、泣きそうなの。