「初めて・・・」




蒼子が呟く。





「初めて・・・、あなたの顔が・・・崩れるのを見れた・・・」




嬉しそうに呟くのだ。
そして、蒼子の頬を流れる一筋の涙。



蒼子はそのまま瞳を閉じた。





「蒼子・・・っ」





この気持ちはなんだろう。
この湧き上がる気持ちは。



こんなに胸が騒いだのは。





初めてだ。





こんなにも、誰かを抱きしめたいと思ったのは。
初めてだった。