「大丈夫、だよ」



なぜか、そう答えてしまう。
なにを護ろうとしているんだろう。

白玖は、黙ってじっと蒼子を見ると、身体を起こし蒼子の腕を引っ張った。


蒼子は、抵抗する力は残っておらず白玖のなすがまま白玖の方へと体を倒した。
胡坐をかいた白玖の膝の上に頭を乗せる形になった蒼子は、慌てて体を起こそうとした。
しかし、それはあっさりと白玖の手によって塞がれてしまう。



「白玖・・・?」

「・・・今だけ、蒼子の枕になってあげる」

「え・・・?」




見上げた白玖の瞳はまっすぐで。
蒼子は、言葉を紡ぐのも忘れ白玖を見上げた。




「こうしたら、よく寝れる」

「・・・」

「今まで、ちゃんと寝れたことなかった。蒼子が、こうしてくれた時、初めてちゃんと寝れた。不思議だ」

「白玖・・・」




この想いをなんと呼ぼう。
こみ上げる想いの名を、まだ蒼子は知らない。




こみ上げた想いを涙に変えて、一筋すっと頬を濡らす。