ふらつく身体を、何とか立たせ屋敷に向かう。
血を失った体は貧血を起こしやすく、フラフラと気持ちが悪い。



「蒼子・・・」

「ん。大丈夫だよ、志多良・・・」



安心させるように力なく微笑み蒼子はそっと襖に手をかけた。
同時に、向こう側から勢いよく襖をあけられ、蒼子はバランスを崩し倒れこんだ。



「あっ」




大きな手に腕を掴まれ、筋肉のついた胸板に抱きとめられた蒼子。




「蒼子」




向こうにいたのは、白玖だった。
白玖は倒れた蒼子を支え、肩を抱くと少しホッとしたように息を吐いた。




「蒼子、どこ行ってた」

「・・・っ、下働きを、手伝ってたの」



多々良に白玖にはそう言っていると告げられていたためそう答えた。
眩暈で立っていられなくなりそうな体だったが、白玖に肩を抱かれているため何とか立っていられた。