その日から、蒼子の不思議な生活が始まった。
真っ暗な牢の中よりは気分が紛れるその生活は、時が穏やかに流れどれほどの日がたったのか、どれ程の時間がたったのかわからなくなっていた。



多々良は仕方なく、蒼子に別の部屋を与えようとしたが、それすら白玖に却下され。
蒼子はそのまま白玖の部屋で過ごすことになった。




「白玖さまは何を考えていらっしゃるのか・・・」




掴めない主に頭を抱えている多々良だった。
蒼子はそんな多々良を、知ったことではないと知らんぷりを決め込みだされた食事を食べていた。



隣には、白玖のための膳が用意されていたが白玖の姿はない。
そもそも、あまり白玖がものを食べているところを見たことがないのだ。



蒼子の見ていないところで食べているのかもしれないが、だされた膳がそのままどこかに運ばれる日々を見ていれば気になるのは仕方がなかった。





「・・・多々良さんは食べないんですか?」

「主の部屋で主と同じときに食べるなど、もってのほかです」

「そういうものなの・・・?でも、その主はいないわけだし」




気を遣ってそう言ったのだが、多々良にぎろりと睨まれてしまった。