妖の王子さま




「あの、誰が・・・」



多々良が問う。
いずなは今にも噛みつかんとする白玖の態度にため息を吐くと多々良に向き合う。



「・・・朱鬼だ。蒼子の力を知ったんだろう。戦を取りやめると決まっているこの日を狙って奇襲をかけ、俺の部下がやられた。もちろんやられっぱなしではないがな」

「そうでしたか」



険しい表情で考え込む多々良。
これ以上は無用といずなは歩きを進める。




「いずな!」




そんないずなを、白玖が呼び止めた。




「・・・蒼子の事、助けてくれてありがとう」




白玖の台詞に目を見開き、背を向けたまま小さく笑った。




「お前から、そんな言葉を聞くことになるとはな。お前が変わったというのは、本当らしい」



可笑しそうに声を小さく弾ませて言った。
そして、白玖を振り向き力強い声で言い放つ。



「それでも、この世を統べるのはこの俺だ!」




そう言い残し、いずなは颯爽と消えて行った。