妖の王子さま




人間界に、妖が出向き悪さをしている。
そんな知らせが届いたのは、蒼子が人間界に送り返されたそのちょうど同じころだった。


人間界に妖がいることは、珍しくはないことであったが。
それは昔の事であった。

人間でいう戦国時代や江戸時代、その頃には妖の世も人間の世もないほどに、妖はどちらの世界にも棲んでいた。



しかし、時がたつにつれ、人間の世は妖の棲みにくい世になってしまった。
そのため、妖たちは妖の世を発展させ、移り住むようになったのだが・・・。



今でも、人間の世に住み続け、人間に悪戯をする妖は少なからずいるのだ。



特別、取り締まることもないが、あまりに人間の世に干渉するようであれば退治するのが妖の長の務め。
蒼子の住むこのエリア一帯は、白玖の管轄内だった。




「たくさんの怪我人が出てるらしいし。これ以上は見過ごせないもんな」

「ああ」

「・・・まぁ、俺も。他妖(ひと)の事言えねぇけど」

「お前も同じようなことしてた」




朱鬼に見捨てられ、人間界におりていた牛鬼も、人間をたぶらかし神隠しにあわせていた前科がある。
牛鬼は気まずそうに肩を竦めた。