白玖と牛鬼の人気は尋常ではなかった。
白玖の美しさは、人目を惹き。
牛鬼の人懐っこさは人に好かれる。
牛鬼は牛鬼で、人間として学校生活を謳歌していた。
一日を終えると、蒼子はぐったりと疲れ果てていて。
白玖は無関心、牛鬼はニコニコ楽しそうな三者三様の様子。
「蒼子さま、帰ろう!」
迎えに来た牛鬼が声を上げる。
蒼子はまた注目を浴びるのを感じながら立ち上がった。
「ねぇ、狐塚くんっ。家どこらへん?一緒に帰ろうよ」
頬を染めたクラスメイトの女の子が白玖に詰め寄る。
蒼子はそれを横目で見ながら牛鬼の側まで寄った。
今日一日ああいう状況をいやというほど見てきたのだ。
ヤキモチも、焼いている場合ではない。
「おれ、蒼子と帰るから」
白玖ははっきりそう告げると女の子たちを振り切り蒼子たちのもとにやってきた。
こうして、ずっと蒼子を選んでいることもわかっていた。
それが少し、嬉しくもあるのだ。