妖の王子さま




「HRはじめるぞー」



先生の声が響き、先生が中に入ってくると賑わっていた教室は少し落ち着く。
それぞれが各自の席に座ったのを確認し、先生は頷くと、入り口に向かった。



「よし。入れ―!」




そう声をかけると、開けっ放しにされていた入り口から一人の男が入ってきた。
その男はゆっくりとした足取りで先生の横に立った。

その姿を見て、蒼子は目を見開いた。




「・・・はっ・・・」




思わず声をあげようとして口を抑え込んだ。
先生が首を傾げ蒼子を見るが、気を取り直して紹介するため彼を手を開いて指す。




「今日から転校してきた、狐塚白玖(こづかはく)くんだ。しばらくしたらまた遠いところに転校してしまうそうだが、仲良くしてやってくれ」




先生がそう紹介したのは、紛れもなくあの白玖であった。
獣の耳はなく、まるっきり人間の姿で、白髪の髪も、黒髪に変わっていた。
しかし、その顔は妖艶な美形の白玖そのものだった。