「・・・うん。この方が、落ち着く」

「え?」

「あれに、なにをされても何も感じなかった。でも、蒼子とこうしてるだけで体がポカポカ暖かくなるんだ」



蒼子は複雑な気持ちで聞きながら、それでも自分を求めてくれていることには素直に嬉しかった。
しばらくそのままでいた白玖たちだったが、多々良に声をかけられたことで離れた。




「白玖さま、少しお時間よろしいですか」

「うん」




多々良に呼ばれ、行ってしまった白玖を見送り蒼子は高鳴る胸を抑えた。
白玖に振り回されている。
そんなことを感じながらも、嫌ではない自分に戸惑う。

白玖の事が好き。


いつしか芽生えた気持ちに蒼子が気づくのに時間はかからなかった。



でも、白玖がああして蒼子に懐いているのは、恋愛感情というわけではない。
一緒にいるのが居心地がいい、きっとその程度のモノなのだろうと思っていた。


ペットが飼い主に懐いて甘えるような、きっとそんな感じなのだと。




白玖に自分と同じ感情を求めるのは、無理だと蒼子は思っていた。





そのことで、蒼子は胸を痛める。