「なにをしてた?」




蒼子たちが白玖の側に来ると、白玖は気になるようで尋ねた。




「お花をね、見てたの。このお庭、結構いろんな花が咲いてて綺麗だね」

「ふぅん・・・。そうなんだ」

「白玖は、知らないの?」

「知らない。興味なかったから」




心を動かすものがなかったのだ。
花も人も、妖も、すべてどうでもよかった。




「蒼子、おいで」




両手を広げた白玖がそう言う。
蒼子は戸惑い動けない。


そんな蒼子の手を掴んで引き寄せると、白玖はその体を抱きしめた。





「は、白玖?」




戸惑いに声を上げるが、白玖は強く抱きしめて放さない。
廊下にあがるための石段の上に立っている蒼子を上から覆いかぶさるように抱きしめていた。