妖の王子さま




「蒼子!」


白玖は勢いよく襖をあける。
そこには、牛鬼に包帯を変えてもらっている蒼子の姿があった。


大分、傷は治ってきているため薬は塗らず汚れた包帯を変えるだけだ。
牛鬼は蒼子の手を取り腕に包帯を巻いている途中で顔を上げる。
蒼子もその腕に向けていた視線を襖の方へ向けた。




「あ、白玖。早かったのね」




蒼子は落ち着いた様子でそう言うと、再び視線をその腕に戻した。
そんな蒼子に、牛鬼もとめていた手を動かし始める。


白玖は、それが無性に気に入らなかった。
むかむかと胸が苦しくなりズカズカと部屋の中にはいると、牛鬼を掴んで放り投げた。



「うわ!?」

「え!?」




突然の事に驚く蒼子と牛鬼。
牛鬼は廊下まで飛び出し、丁度夕餉を持ってきていた多々良は突然飛び出してきた牛鬼に思わず躓きそうになって慌てた。


「な、何事です!?」



多々良が部屋を覗くと、白玖が蒼子の側に座ったところだった。