「蒼子!」




白玖が、叫ぶ。




「は・・・く・・・?」




その下から、小さくか細い蒼子の声が聞こえてくる。
生きている。
そのことに、白玖はこみ上げてくる感情を覚えた。


一層に早く、岩をどかすと傷だらけの蒼子と、蒼子に覆いかぶさり両手で踏ん張っている牛鬼の姿があった。




「蒼子さん!牛鬼!無事だったんですね!}




多々良も、安心したように叫び、二人を助け出した。
しかし、見れば牛鬼の身体には傷はなく、蒼子の方が傷だらけだった。



「どうして蒼子さんがそんな・・・」

「ごめん・・・。多々良・・・。俺、俺・・・。また蒼子さまに、助けられた。俺が護るって言ったのに。俺の傷を、引き受けてくれて」

「そうだったんですか」




牛鬼は悔しげに顔をしかめ呟いた。
護る。
そう大見得を張ったのに。
結局傷付けてしまったと、牛鬼は深く後悔していた。