妖の王子さま




「ほお。お前が焦る姿など、初めて見たな?」

「焦る?」



白玖には、言われていることがわからなかった。
朱鬼はおかしそうにしばらく笑い声をあげる。
そして、ふと笑い声を止めると一瞬で笑みを止めギラリと瞳を光らせた。




「美しくない戦い方をするのは、あれのせいか」




そう呟くが早いか一気に地面を蹴り上げ蒼子たちの方に飛びだっていった。
その姿は、蒼子たちにも見えていた。




「蒼子さま!」

「こっち来る!?」





こちらに向かっていることに気づき、慌てて逃げ出そうとする蒼子と牛鬼だったが、朱鬼の速さには勝てない。
一気に詰め寄られ、獲物を捕らえた朱鬼が大きく金棒を振り上げ二人に振り下ろそうとしていた。




「お前の相手は、おれだと言ってるだろう!!!」




ギリギリのところで二人の前に滑り込んだ白玖が、金棒を振り上げていた朱鬼の腹部を思い切り蹴り上げた。