妖の王子さま




激しい攻防が続く。
辺りに砂埃がたちこめ、視界が悪くなるほど。


白玖は、いつものように戦おうとしてハッとした。




“ケガを負わない”




蒼子と約束をしたその言葉を思い出したのだ。
いつもなら、自分が傷つくことを恐れず強引にでも攻め入る白玖だったが今日は、冷静に朱鬼の攻撃を防ぎ、その上で攻撃を向ける。



正直、煩わしいと思った。




いつものような戦いの方が割に合っているし、相手に深手を与える確率も高い。
そのような戦い方をしたことのない白玖にとって、とても戦い辛い戦闘であった。




「どうした!いつもの勢いはどこへ消えた!?ようよう、死にたいようだな!」




朱鬼は高笑いをあげ金棒を振り上げる。
白玖がつき出した剣を足で薙ぎ払うと白玖の身体めがけて金棒を振り下ろした。



逃げ遅れた白玖は、避けきれない。




「白玖!!!」




しかし、すんでのところで刀でその金棒を受け止めた。
蒼子の声が、聞こえた。

怪我をするわけにはいかないのだと。
傷つくわけにはいかぬのだ。