蒼子が目を覚ますと、白玖の顔が間近にあり目を見開いた。



「白玖・・・?」

「蒼子の、馬鹿」

「え?」

「なんで勝手なことする?」




目を覚ましてすぐに言われた言葉に一瞬戸惑うが、自分が白玖の母に会いに行ったことを指していることに気づいた。




「ごめんなさい・・・。でも、このままはいやだったから」

「おれがいいって言っているのに、蒼子が嫌だって、変」

「変?」

「うん。蒼子は痛くないのに、どうして嫌?それが、傷ついてほしくないって気持ちなの?」





白玖の手が、サラサラと蒼子の前髪をなぞる。
無意識に、手悪さのように浚われる前髪に蒼子はくすぐったさを感じながら白玖を見上げた。




「そうだよ。私は痛くなくても、白玖が痛い思いをしているのを見るのは、私が痛い思いをするのと同じなの。だから、私は白玖に痛い思いをしてほしくないの」

「おれが痛いと、蒼子も痛い・・・」

「うん。痛いよ」