それでも、かたくなな態度に蒼子は諦め静かにその場に座った。
目の前の襖が開かれる時を待つことにした。


どうか、この襖を開くのが白玖でありますように。


そう願いを込め目を伏せた。




しかし、その願いも虚しく一向に開かれない襖に蒼子は気分が沈み込んでいく。
なにもできない自分がもどかしく、今すぐにでも飛び出したい気持ちだった。




「蒼子さま、膳を持ってきた」

「・・・いらない」



襖の向こうから掛けられる声に蒼子はきっぱりそう答えた。
食べる気分じゃない。
白玖の無事がわかるまでは、そんな気分にはなれなかった。




「でも、蒼子さまずっと眠っていてなにも食べていないんだから。少しは食べてくれないと」

「食べない。・・・白玖に会えるまでは」





蒼子も頑なだった。
牛鬼は襖の前で立ちすくみ、眉を寄せた。




「蒼子さま・・・」