「詳しく、説明しますね」
多々良だけは、一人冷静に話を切り出す。
その冷静さのためか、蒼子が必要以上に混乱することはなかった。
「ここは、人間界ではなく、妖の世界。妖怪が棲む世界です」
「よう・・・かい・・・」
聞きなれない言葉に、反芻するが理解ができない。
妖怪なんて、現実に存在するなんて思えない。
そんなものは、夢の世界で、小説や漫画の世界で、現実の中に存在することなどありえないのだ。
そう思ってすぐに、気づいた。
ありえないことなんてない。
現に、蒼子には言葉では説明できない力がある。
その力こそが、ありえないことだった。
それがありえているということは、彼の言う妖の世界だって存在するという事になる。
そう考えると、青ざめていく心。
納得はできないが、理解はできる。
その様子を見て多々良は、満足そうに笑った。


