その先の光景に、恐ろしくなり唇を噛むがそっと襖をあけた。




「多々良・・・」




そう呼びかけながら中にはいると、多々良がハッとして顔を向けた。
いつも冷静な多々良の表情が酷く憔悴しているように見え、蒼子は胸を痛める。
多々良は蒼子を見て戸惑いに瞳を揺らすが、自分ではどうしようもない状況に唇を噛みしめ蒼子の前に崩れ落ちた。




「多々良・・?」

「蒼子さん・・・。白玖さまを・・・。白玖さまを、お助けください・・・・」




頭を床にこすり付けるようにして多々良は絞り出すような声でそう言った。
蒼子は驚き慌てて多々良の前に座り身体を起こすよう多々良の肩に触れた。
その体は震えていた。





「顔をあげてください。わかりましたから。私も、白玖を助けたくて来たんです」

「蒼子さん・・・」

「白玖は、危険な状態なんですね?」



多々良の異常な様子に蒼子はそう尋ねた。
多々良は言葉を噤み、静かにうなずいた。