妖の王子さま




「女!俺は、諦めんぞ。お前は俺の嫁だ!必ずまた奪いに行くぞ」




狐火をはぎ払いいずなが叫ぶ。
蒼子は白玖の腕の中からいずなを振り返る。





「女、名を教えて行け!」

「・・・蒼子。あおこ!ありがとう、いずな!あなたの言葉はすごく嬉しかった!」





蒼子は、大きな声で叫んだ。
その瞬間、白玖が蒼子を抱く腕に力を込めた。
そして、蒼子の姿を隠すようにいずなに背を向けた。





「蒼子か、覚えておいてやる!」





遠ざかっていく中、その声だけが響いていた。






「・・・」




悪い人ではなかった。
蒼子は、そう感じていた。