壁にもたれてぼんやりしていた白玖は、蒼子の言葉にも知らん顔だ。




「なるほど、狐めは食べぬからひょろひょろしてるんだな」




牛鬼がサラッととげのある言い方をする。
白玖は一瞬ピクッと耳を動かし、牛鬼を睨みつけた。



「あ、そうかもしれないわね。何事にもしっかりと食べておかなくちゃ、身体はできないし」




蒼子もそれに、同調してしまうのだ。
気分がよくない白玖は、むすっとしたままズカズカと膳の前に移動した。



むすっとした顔をして、魚を手で鷲掴みにすると大口を開け頬張った。





「あ・・・」





もごもごと口を動かし咀嚼する。
そして、汚れた手を蒼子の着物でなしったのだった。




「ちょ、ちょっと!」

「ふん」




白玖は顔をそむけると外に出て行ってしまった。
そんな白玖を見つめ、怒った顔をしながらも食べてくれたことに嬉しくなるのだった。