「私に聞くより本人に聞いたほうがいいんじゃないでしょうか」


差し出がましいようだが、


あるいは冷たい??


そう取られてもしょうがないけど、今の私にはそれしか言いようがないし。


今まで周りの友達にそういうことがなかったから。相談されたこともないし。


こうゆうとき、何て言ったらいいのか分からない。


私はすっかりぬるくなったコーヒーを一飲み。


いつもと同じカフェでいつもと同じブラックコーヒーを飲んでるはずなのに、


こないだ黒猫とファミレスで飲んだコーヒーよりそれはずいぶん苦く感じた。


まるでコーヒーの色は黒猫の機嫌の色を表わしているようだ。


私は甘いのが苦手だし、コーヒーはブラック派だからこれがちょうどいいはずなのに。


でも


今は砂糖をたくさん入れて甘くしたい。


「本人に聞けば、かぁ。まぁそうなんだけどね。あいついっつも本心喋らないって言うか…そもそも喋らないし。


会話って言ったら挨拶か『あー、うん』とか『いや』とYesかNoで答えるだけ」


みけネコ店長はちょっと肩を竦めた。


「昔っからそうなんですか?」


「うん、昔っから。どこか冷めてるところがあるってのかなー。


良く言えば聞き分けいい子。悪く言えばそっけないってのかな。


男ってそんなもんか?って思ったこともあるけど、幼馴染の亮太くんは違うし」


まぁ、比べる相手がトラネコりょーたくんだったらねぇ…


「僕、食事会のとき思ったけど、倭人があんなに喋ってるの見たことなかった。


朝都ちゃんには心から気を許してる感じだったから、なんか喋ってるかと思ってさ」




心から―――……



じーんとくるような言葉だったが。






あ・れ・で??





『俺の髪を変な研究に使うんじゃねーぞ』



朝、駅で別れるときに聞いた言葉はお別れの挨拶としてはあまりにもそっけない。


って言うか生意気よ!