次は私達チームのサーブ。
私と同じで運動苦手だからと言っていたクラスの女の子も、頑張っていた。
その子のアンダーハンドサーブは、半円を描いてネットの向こう側にふんわりと落ちていく。
相手チームの1年生女子が難なくサーブカットして、バレー部員みたいな上手なトスが上がった。
トスに合わせて走り込み、高くジャンプしたのはショートカットの女の子。
試合開始直前に、『先輩、お手柔らかに』と私に言ってクスクス笑っていた人だ。
この試合を通して彼女が、すごく上手いのがわかっていた。
きっと部活経験者。
いや、絶対に経験者だと言い切れるほど、本格的に上手い。
でも、春町くんが度々「手加減してよ〜」と声をかけていたせいか、ジャンピングスパイクは一度も打ち込んでこなかった。
そんな彼女が……怒っているような怖い顔をして、助走をつけて飛び上がり、高い打点から強烈なスパイクを打ち込んできた。
それは、一瞬のできごとだった。
ボールの威力が強すぎて、速すぎて、1ミリも動くことができなかった。
瞬きする間もなく飛んできたボールが、私の顔面にクリーンヒットしてしまう。


