「ま、別に興味もねえけどな」


そう言った彼もバイクにまたがると、エンジンをかけた。



まだ寝静まっている静かな住宅街に、大きく響くエンジン音。


うわ~、これ絶対近所迷惑だよ。


そんなドキドキを煽るかのように、更にエンジンをふかす。



「乗り方知ってんなら、つかまり方も知ってるよな」


メットの奥の瞳が、ニヤリと笑う。


「……っ!?」



そうだ。


あたし、この人にギュッってしなきゃいけないの?


よく知らない男の人にしがみつくなんて、緊張するよ……。




だけどだけどっ。


落ちたくないし、死にたくないし!


命のためだと割り切ってギュッとしがみつくと、バイクは緩やかに発進した。