しばらく走ると、裏通りから表通りへと出た。



ここでは平穏に時が流れていた。


さっきまでの喧騒がうそみたいに、サラリーマンやOLさんたちが普通に歩いている。



よかった。


助かったみたい。



「ここ真っ直ぐ行ったら駅にでる」


さすが男の子だなぁ。


やっぱり彼は呼吸が乱れてない。


「はぁっ……はぁっ……」


あたしはこんなに苦しいっていうのに。


喋る前に、呼吸を整えるので精いっぱいだよ。



あまりの苦しさに、あたしは体を丸めながら両ひざに手をつく。