あたしが入学した時、お兄ちゃんは中2で、まだ暴走族には入ってなかった。
それでも特異なオーラを放っていたお兄ちゃんは、小学校を卒業したばかりの子供たちには相当怖い人間に映ったらしく。
やっぱりあたしは男子に敬遠された。
そして中3で暴走族に入ったお兄ちゃん。
それを知った同級生たちは更におののき、あたしはますます敬遠されたんだ……。
「ため息なんてついてどうした。誰かに何かされたらすぐに言えよ。俺が一言――」
「うん、ありがとう。でも大丈夫だから」
やんわりと遠慮して、その続きを遮った。
遠慮っていうより、あしらったって言った方が正しいんだけど。
その”一言”がどれだけ恐ろしいことになるのか、あたしは痛ーーーいほど分かってる。
ありがとうなんて、死んでも思ってない。



