「オオカミのいる家になんて入れるかよ」
べーって舌を出しながら、心底嫌そうな顔をする渉。
渉はお兄ちゃんのことを、陰でオオカミって呼んでる。
まあ……あたしもそう思うし、見たまんまだから悪口ってワケでもないし。
べつに嫌いなわけじゃなくて、むしろ一目置いてるみたい。
それはお兄ちゃんも。
あたしとつき合うのを許してくれたくらいだもん。
ふたりは、友達でもないけど敵でもない、また不思議な関係。
「ていうかさー、家の前でそのカッコはやめてよねー」
「あ?」
「そのいかにもヤンキーって感じの!」
だって、膝を広げてしゃがみながらストロー咥えてる絵って、あたしのイメージする「ザ、ヤンキー」なんだもん。
「近所の目ってモノがあるの…」
渉がどうこうってわけじゃないけど、家のそばで変な噂は立てられたくない。



