「なんでこんなとこにいるの?」
電柱の影なんて、渉には似合わな過ぎる。
「あちーんだよ」
見りゃわかるだろ?って空を見上げる渉は、暑苦しそうな要素はなく、むしろ涼しそう。
「そう?渉ってクールに見えるから涼しそうだよ?」
「あのなぁ、クールな奴はそう見えるだけで体温が低いわけじゃねえぞ」
「そうなの?見てる方はそれだけ涼しくなるんだけど」
「そりゃよかったな。とにかく俺はあちーんだよ」
手うちわで扇ぎながら、あちーあちーを繰り返す渉がなんだかおかしくてクスッと笑う。
汗が流れてるわけでもないし、相変わらず涼しげでカッコイイんだけど。
「すーみーまーせーんー。だったら家の中で待っててくれてもいいのに。今度からあたしが遅かったらそうして?」
お弁当を作ってて遅れた……なんてのは言わない。
必死感なんて出したくないもん。



