ヤンキーなんて、大嫌い。

何度も何度も重なりあう唇から、渉の想いまで伝わってきた気がした。



「……んっ……」



甘い吐息が自然と漏れた。


これが、本当のキス、なのかな……？



恋愛初心者のあたしは、渉についてくので精いっぱい。




ようやく唇が離れ、途端に恥ずかしくなってうつむくと。



顎をクイッてされて、すぐに上を向かされた。





あたしに触れたばかりの唇で渉は言う。





「お前のこと、マジで好きなんだよ」




……さっきからあたし、どきどきしっぱなし。




「好きで好きで……どうにかなりそうだ」




そう言った渉は、あたしをぎゅって抱きしめた。





こんなふうに抱き合うのは初めてで。


キスよりも、恥ずかしくてくすぐったい。


そして、あったかい。



大きな体に包まれて、すごく安心する。


それは、あたしが渉に心を許してるから。




……大好きだから。






渉が、ヤンキーだとしても。


好きで好きでどうしようもない。





だから、あたしも伝える。



ありったけの想いをこめて。





「渉、大好き……っ！」













『ヤンキーなんて、大嫌い。』



*おわり*