「―――――っ!!」



俺は飛び込むようにして、仙道に向かい。



「うおおおおおおおっ………!!!!」



万一間に合わなくても、刃先だけは絶対に乃愛に当たらないように。


刃先を手のひらですべて覆い、仙道に突進した。




瞬間、煌蘭もワッ……っと動いた。




乃愛が離され、俺の視界から消える。






「……うっ……」


隙をつかれた仙道は、背中を床に打ち付けるように倒れた。




顔の傷も、いま切れたばかりの手のひらも。


痛みなんて、まったく感じなかった。



俺にはもう仙道しか目に入らなかった。




その上に馬乗りになって、ただひたすらに、切れた手で仙道の顔に何度もパンチを入れ続ける。





俺を救ってくれたヤツは、こんなに弱かったのかよ!


俺の尊敬してやまなかった人は、こんなに汚い人間だったのかよ……!




何度も、何度も……








「もう、そのくらいにしとけ…」


一之瀬嵐士にそう言われるまで……。