乃愛は言葉も出せずに、ただ唇をガタガタ震わせて怯えている。
「やめろっ……!!!」
仲間が全滅した今、マジで何をしでかすかわかんねえ。
刺激しないようにと思いながらも、焦りは募る。
でも、必ず隙があるはずだ。
どこか狙えるところがないか仙道を見据える。
肘を顔の高さまで持ち上げ、ずっと同じ角度で乃愛にナイフを向けている仙道の腕。
よく見ると、手首には青筋が立っていた。
相当な力で握っているはずだ。
……そうか。
―――と、そのとき。
腕の角度が下がったのを見逃さなかった。
ナイフを握り直そうと、一瞬力が緩んだのだ。
………俺はコレを待ってたんだよっ……!