「やれ」
仙道の合図で、メンバーが一斉に動き出した。
昨日まで味方だった相手。
以前は、俺が憧れていた奴等……
そいつらに向かって拳を振るう。
一之瀬嵐士も、新藤も、タクトも。
圧巻の強さだった。
「……渉っ……てめえっ……」
力尽きて俺の前に倒れる相手に、喧嘩で勝ったときに感じる爽快感なんて何もなくて。
虚しさだけが残った。
そのうち、他を片付けてきた煌蘭のメンバーも駆け付けて。
人数でも劣勢の紅は、あっという間にそこらじゅうに伏せた。
そして紅で残るは。
仙道だけになった。
「いい加減負けを認めろよ」
「どうだか?こっちには煌蘭トップに膝まづかせることだって出来んだよ」
仙道は、乃愛の首元からナイフを離さない。