どういう意味?
だって、渉があたしに近づいてたのは事実だし。
「渉が本当の裏切り者なら、今頃、お前の兄貴がここを突き止めてるだろうからな」
お兄ちゃんが……?
「ほーら来た」
彼が見せてくるスマホには、着信を示す緑のランプと共に、表示されている一人の名前。
“一之瀬嵐士”
「もう、大事なお姫様がどこにいるかわかってる」
そう言ってニヤリと笑った後、画面をタップして、
「もしもーし」
バカみたいに明るい声で電話に出ると。
通話口の向こうからは、お兄ちゃんが怒鳴っているような声があたしにまで届いた。
……お兄ちゃん。
その声を聞いて、張っていた気持ちが弱くなり、
「おにい……っ……」
泣きそうになりながら叫んだとき。
「んっ……!!」
横から口をふさがれた。



