「え?」


「圭太の喧嘩相手の男だ。紅っつう、ロクでもないチームに入ってる」


「……」



ヘタに声を出すと上ずりそうだったから、首だけをブンブンと横に振った。




そして確信する。


お兄ちゃんはホントになにも気づいてないんだって。




「ならいい。今後も関わるな」


そう言って、そのままリビングを出て行ったお兄ちゃんは。


きっと、あたしと渉に接点がないのを確認したかっただけなんだろうな。




「ふう……」


お兄ちゃんも、渉のこと知ってたんだ……。



なんだか生きた心地がしなくて、ソファに深く身を沈めた。