その日の夜。
あたしはリビングでぼうっとテレビを見ていた。
見ていた…というより、つけていただけって言った方が正しい。
到底内容なんて、全然耳に入って来てないけど。
ひとりで部屋にこもっている方が、なんだかおかしくなりそうだったから。
圭太とのケンカのあと、渉は教室には戻ってこなかった。
渉の言葉が耳から離れない。
"少し優しくすると勘違いする"
"煌蘭の姫も、チョロかった"
これが、斗真くんがあたしに忠告してたことの真意?
ほんとの渉はそういう人だってこと……?
お兄ちゃんが、お風呂から上がってリビングに入ってきたのを視界にとらえた。
「そんなに派手だったのか」
冷蔵庫を開けながらポツリとつぶやく声が聞こえた。
「え?」
一瞬、電話でもしてるのかと思ったけどそうでもなくて。
そっちの方を向くと目が合った。
あたしに言ったらしいけど……何のことかとポカンとすると。



