圭太が学校に来てくれて、ちゃんと話せたことが勇気になったのかもしれない。



次の休み時間。


チャイムと同時に教室を出て行った渉のあとを、あたしは追いかけた。




「ねえ、渉!」


足音と共に響くあたしの声。


すれ違う生徒たちが振り返るのが視界の端に映るけど、そんなの構わない。


あたしは声をかけ続けた。


「渉、待ってよ!」


僅かにその背中が反応した気がするけど、渉は無視を決め込んでそのまま歩いて行く。


「ねえ、なんで無視するの!?」


それでも、今日のあたしは諦めなかった。