「ここまで言ったら濁してもしょうがねえからハッキリ言うけど、乃愛ちゃん、一人でフラフラしてたら、どっかの族に攫われちゃうよ?」
……攫われる……?
サラッと言われたけど、それはとんでもなく恐ろしいことで。
無意識のうちに足がかすかに震えるけど。
「ま、まさか……イマドキ高校生が誘拐とか……」
「暴走族なんて、ただの遊び…くらいに思ってっかもだけど、まあ、ハタから見たらそうなのかもしんないけどさ。
こっちとしてはそれなりに煌蘭の名前背負ってるし、生半可な気持ちじゃないわけよ」
"誘拐とかあり得ない"
そう言おうとしたあたしに、真顔で続けるタクト先輩。
あたしにはわからない、暴走族の世界の話……。
でも、とても大切な話の様で、あたしは口を半開きにしたまま内容に引き込まれていく。



