それでも。


中1でグレ始めた俺に、仙道さんはバイクの乗り方、喧嘩の仕方、一からすべてを教えてくれた、尊敬すべき人。


紅では、幹部でもない俺のことをかなり買ってくれている。

恩がある。


そもそも仙道さんが立てた計画に、俺は口を出せる立ち位置にもいない。





ターゲットが……一之瀬嵐士の妹だとわかったのは、それからすぐのことだった。


そのターゲットを操る者として選ばれたのが、俺。


なぜなら、一之瀬嵐士の妹と俺が同い年だったからだ。



妹が一之瀬嵐士と同じ黒凪高校に入るという情報を入手し、俺も仙道さんの命令で黒凪に入学させられたんだ。


斗真と一緒に。



どんな手の込んだ計画だっつうんだよ……。