地面に倒れた圭太は、まだ起き上がれなくて。
「ふざけたことしてんじゃねえぞおおおおっ!!!!」
その上に馬乗りになり、シャツの胸元を引っ張り上げる。
「圭太っ……」
驚きに目を見張る圭太は、もちろん無抵抗で。
「乃愛は家に入れ!!」
圭太に手を伸ばそうとしても、お兄ちゃんに遮られる。
「だって、圭太がっ」
「入れっつってんだよっ!」
牙を剥いた狼には、もう妹のあたしの話も通じなくて。
「きゃっ……」
強引に家の中に引きづり込まれる。
――バタンッ……。
閉まったドアの向こうでは、またお兄ちゃんの怒鳴り声が聞こえた。
ごめん……圭太、あたしのせいで……。
圭太を怒らせたからあんなこと……。
ごめん……。
あたしは届かない懺悔を、ただ心の中で必死で唱え続けるだけだった。