渉の手に、力が入ってく。 その目は、笑ってなくて、どこか切なく見える。 「……っ」 イジワルく、茶化しながら聞いてくれたらあたしだって笑えるのに。 なんで、そんな目で見るの……? 「……いたっ……」 「あ、わりぃ……」 慌てて渉が手を離す。 ううん。 痛いのは胸だよ……。 なんでだろう。 恋って、苦しいね。 こんなに近くに居るのに、相手の気持ちを確認するのが怖くて、何も聞けなくなる。 核心から、目を背けたくなる。 渉の気持ちなんて知りたくない。