「渉が本気だしたら、あたし負けちゃうかも」
大袈裟じゃなくて、うかうかしてらんない。
いい家庭教師でもついたら、ものすごいライバルになるかも!?
「それは、どーも……」
あたしに褒められるなんて思ってなかったのか、いつになく、照れたように返す渉。
でも、ホントだから。
初日の渉を見てたら、こんなに出来る人だなんて思わなかったもん。
もっと頑張れば、黒凪高校なんかじゃなくて、もっと上をねらえたんだろうなぁ……。
「そういえば、よく見ると渉って、理数強そうな顔してるよね?」
「は?顔で勉強しねえけど?」
ケラケラ笑ってるけど、なんとなく理数系の男の子って、顔に出てる気がするんだけどなぁ。