グシャリ。
「おいっ、渉……!」
焦ったような斗真の声に、意識を戻せば。
俺は無意識に、缶を片手で潰していたらしく。
ビールの泡が、吹き出すようにして床にこぼれていく。
そんな俺に、戸惑いながら声を掛ける斗真。
「おまえ、まさか……」
まさか……?
そんなの俺が知りてえよ。
「えっ……マジかよっ……!?」
「出てくる」
ガバッと立ち上がった斗真の言葉をさえぎり、俺はバイクの鍵を手に外へ出た。
クソッ……。
なんで、乃愛は……乃愛は……っ……。
そのまま、俺はあてもなくバイクを走らせた。
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