あたしの名前は、一之瀬乃愛(イチノセノア)。


つい5日前に、県立黒凪(クロナギ)高校に入学したばっかりなんだけど。




入学式の当日。


あたしのクラスにブラックオーラを纏いながら現れたお兄ちゃんは、狼の様なその鋭いブルーの眼光でクラスを見回した。




それまで、ワイワイと賑わっていた教室は一気に凍りつく。



お兄ちゃんは、暴走族【煌蘭(コウラン)】の10代目総長。


煌蘭の歴史は長いらしく、10代目ともなれば、知らない人は居ないほど有名で。


なおかつ、オス的要素を前面に押し出したようなワイルドさ満点で極上のイケメン。


一度見たら、絶対に忘れないと妹のあたしでさえ思うくらいインパクトがあって。



教室にいた誰もが【煌蘭】の”一之瀬嵐士”だとわかり、息をのんでその様子を伺っていた。