「わかんないよっ……!とにかく、あなたには彼女がいるって言われたの」
「この間言ったよな。彼女はいねえって」
「この学校には……ってことなんでしょ……」
「は?この学校どころか、世界中探したっていねえよ」
「だって、斗真くんがっ……」
「いないっつってんだよ。俺と斗真、どっちの言うことを信じんだよっ!」
いつものふざけた調子じゃなく、眉に寄った皺が、苛立っていることを教える。
「どっちだよっ」
ダンッ……!
本棚に手をついた渉が、グッとあたしに迫る。
「……っ……」
渉に囲われたあたしは、鋭い瞳で見降ろされて。
「……なんで……あたしにいちいち構うの……」
言いながら声が震えて、涙がまた零れてきた。



