隣同士なのはいつもと同じだけど、机に境目がない分、ただでさえいつもより距離が近い気がするのに。
それがさらに縮まって、ドキンッ…と跳ねる胸。
「なあ」
あたしより低い位置から、見上げるように問いかけてくる渉。
渉の上目使いは、迷子になった子犬みたいで、きゅぅぅ…と胸に迫るものがある。
「……」
でも今のあたしには、そのドキドキに浸れるほどの余裕なんかなくて。
「……わかりやすい参考書、探してくるね」
席を立つと、本棚へ向かった。
びっしりと本が詰まった本棚と本棚の間を歩く。
狭くて薄暗い通路なのに、窮屈な空間から解放されたみたいで、自由に呼吸が出来たような気がした。



